プランゲ文庫の話 その1

突然ですが 今日はプランゲ文庫の話です

 

 

1945年8月から1952年の4月まで 日本は連合軍の占領下にありました

沖縄や小笠原は もっと長い間です

 

戦前から戦後へと 日本の体制は大きく変わり

人々の考え方や価値観が 再出発を求められた時期です

 

物もお金もない時代なのに

それまでの抑圧から 精神が解放されたこともあって

さまざまな表現活動が 日本全国で 花開いていきました

 

 

ただ、その時代の資料が あまりありません

 

戦後の日本の絵本や児童文学の歴史を調べようとすると、

この時代の研究は ほとんど空白で

1950年の岩波少年文庫から 戦後が始まっているかんじです

 

 

この時代の特徴として

表現活動が けして自由ではなかった ということがあげられます

 

検閲です

 

GHQによる検閲は、出版物だけでなく郵便、新聞、映画、放送、写真 など、

さまざまな分野に及び、1949年の10月まで続けられました

 

初期は、軍国主義的なものをチェックしていたのですが

後半には 共産主義的なもののチェックもしています

 

 発禁処分になったものも多く

そういうものは 誰にも知られぬまま

歴史の中に埋もれていました

 

で、この検閲に関わっていた アメリカ、メリーランド大学

ゴードン W.プランゲ教授という人が

検閲のために提出された出版物を 願い出て、

まとめて大学に持ち帰っていたのです

 

プランゲ文庫です

 

 

その概要は、(数字はおおよそ)

 

図書・パンフレット 71.000タイトル

雑誌        13.800タイトル

新聞        18.000タイトル

報道写真      10.000枚

地図        640枚

ポスター      90枚

集会配布物     140点  という膨大な量で

 

これらの資料のうち、国立国会図書館が所蔵しているのは2割弱ですから

 

占領下に 人々がどんな出版をしようとしたかを 研究するなら

プランゲ文庫は宝の山なんです

 

 

今回参考にした 谷暎子さんの この本によると

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 『占領下の児童出版物とGHQの検閲』共同文化社 2016年

 

 

プランゲ文庫には 児童書も8.039点、所蔵されています

 

内訳は

 

読み物    4.275

絵本     1.608

漫画・絵物語 2.065

その他       91

合計     8.039タイトル で、

 

このうち、国内で所蔵が確認されているものは

絵本で約27パーセント、漫画だと19パーセントしかありません

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このコレクションは 国会図書館メリーランド大学の共同事業として

1990年代からマイクロ化、デジタル化が行われています

 

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児童書は1995年から整理が始まり

2006年から2010年にかけてデジタル化が完了しました。

2010年からは 一般書に取り掛かっていて

 終わった分は 日本でも見ることができます

 

ただ、著作権の関係もあって 所蔵の一覧は出てくるのですが

中身は 国会図書館でしか見ることはできません

 

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 今日は 概要だけで 中身については また後日に。