江戸東京の伝統野菜

知人から こんな催しがありますと メールが送られてきました

 

「私は行けないけど、興味があったらどうぞ」という文が添えられています

 

添付されていたのは 「江戸東京野菜ワークショップ」のチラシで

 

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なんか、全国各地の特産食材を巡り、歴史を知り、食べて語らい 

持続可能な循環を考える という、ワークショップらしいです

 

第三土曜日は カフェの予約営業日なので お断りしましたが

 

いま、野菜は ほとんどF1種になってしまって、

その覇権争いが 世界中で熾烈になり、

戦前の種苗会社はみんなモンサントやヂュポンなどの化学メーカー

にどんどん買収されていくという状況の中では

こういう伝統野菜 つまりF1種でない固定種を保存していく試みは

とっても大事なことだと思いました。

 

 

江戸の伝統野菜って 何があるのでしょう?

 

先日読んだ高田郁さんの 「みをつくし料理帖」シリーズでは

何が使われていたのかな・・と、考えてみました

 

大根は 沢庵にむく「練馬大根」と 

煮物向けの 世田谷「大蔵大根」と どっちを使ったのでしょう・・

それとも、全然違う細い「亀戸大根」かもしれません

 

かぶも 細長い「品川かぶ」でしょうか

今主流の丸い 「金町小かぶ」が作られたのは明治になってからですから

丸いかぶだとしたら、文化文政の頃は、

大阪の「天王寺かぶ」や 新潟の「寄居かぶ」などを

使っていたのかもしれませんね

幕府の紋に似ているとされたきゅうりも

摂津から入植した人たちによって作られた

「砂村青節成」だと思うのですが

加賀の「加賀太きゅうり」か 尾張の「青大きゅうり」なのかも・・

 

これらは全然 江戸の伝統野菜 ではないですけど

 

そもそも、その当時、江戸で作られていた野菜は

伝統野菜というより 日本全国から集められた野菜なのです

 

なんといっても 江戸に屋敷を構えている全国の大名が 

それぞれに 自分の口に合う郷里の野菜を栽培していたのですから。

 

大名の江戸屋敷は4000坪から9000坪

旗本屋敷でも500坪以上あって、それぞれ下屋敷には

専門の農家を抱えていました

 

畑どころか水田まであるところもあったとか

 

(ちなみに 新宿御苑は 信濃、高遠藩の下屋敷跡です)

 

 

それでも、自分の敷地だけでは足りず

周辺の農家に種を渡して作らせていた大名も多く

 

その余剰品が江戸の市場に流れ込んでいたわけで

今のスーパーよりずっと他所多様な野菜が 江戸の町にあふれていたんですね

 

参勤交代に合わせて

日本全国の野菜が集まり、その味を知った人たちが

好みの野菜の種を 郷里に持ち帰るというシステムは

日本の農業を 劇的に豊かにした と言えるかもしれません

 

 

江戸の伝統野菜としては、「小松菜」も有名です

武蔵村山市の生産量も とても多く

比留間豆腐店の「こまつな豆腐君」や

のぞみ福祉園の小松菜を取り入れたクッキー「小松菜っちゃん」

などが地域ブランドの認証商品になっています

 

武蔵村山では「小松菜」愛が強く

「村山かてうどん」を名乗るには

小松菜が入っていないといけないみたいです。

 

 

問題は、現在流通している「小松菜」は チンゲン菜との掛け合わせで

江戸時代の小松菜は ほとんど見かけません

 

なので、「みをつくし料理帖」時代の 小松菜を食べたいと思ったら

江戸の伝統野菜の種を手に入れて 自分で作らないといけないのです

 

 

固定種の種なら

「野口種苗研究所」ですね

 

この野口種苗研究所については 今度詳しく書くことにして

 

とりあえず ホームページを調べてみたら

 

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この「早生丸葉小松菜」が 昔の姿に近いみたいです

 

さっそく 今年作ってみようと思いますが

秋まき冬獲りが最も美味 と下の方に書いてあるので

お店に出るのは 今年の冬です