フィルムルックスという会社

カフェの西側、新残堀橋の北側に

フィルムルックスという会社があります。

Googleマップを使わせていただくと、

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右下の赤いマークがカフェの場所、左側のまんなかへんに

フィルムルックスという文字が見えます。

 

このフィルムルックスという会社は 昭和48年に設立され

ドイツ製の粘着シートを使って図書館の本の装備をするシステムを

確立した会社です。

 

いま、日本の図書館の多くの蔵書は 透明な

こんなプラスチックのカバーが かけられていますけど

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これより前は カバーがなかったんです

まあ、図書館を利用するのにまず入館票を書き

荷物を預けてからでないと 中に入れなかったような時代です。

本の貸し出し自体が あまり重視されていなかったので

耐久性のあるカバーの必要性も それまでの図書館では

感じられなかったんでしょうね

 

こうした流れを劇的に変えたのが、昭和41年に始まった

日野市立図書館の移動図書館車です。

貸し出しもまた 図書館の基幹業務だとして

積極的な貸し出し政策を取り

市民の大きな支持を受けていきます。

 

フィルムルックスという会社ができた昭和48年 1963年は

日野に始まった流れが 多摩地域の他の自治体に

大きく波及し始めたころになり、

日野では中央図書館が開館して 貸し出しを基礎に

レファレンスや地域資料も充実させていくという

一応のシステムが作られていきました。

 

こうした「市民の図書館」の確立は 多摩地域がひとつの先駆となります。

その陰で 大量貸し出しに耐える本の装備があり、

調布にあるブッカーという会社とともに

フィルムルックスが果たした役割も

けして小さくはなかったのです。

 

武蔵村山の今の場所にフィルムルックスの多摩営業所ができたのは

昭和53年のことですから、

それまでは どこで営業していたのでしょう?

 

そのころの出版取次は、1位が日販、2位が東販で

3位が大阪屋、4位がたぶん栗田です。

フィルムルックスは大阪屋と提携していたので、

きっと 大阪屋のビルの一室に本拠を構えていたんですね

 

ただ、初代の人からは

装備が間に合わず、立川の富士見町団地の高層階まで運び込んで

生まれたばかりの赤ん坊を横に

夜なべすることもしょっちゅうだった・・という話をきいたことがあります。

 

そのフィルムルックスに勤めているお客さまから

先日 こんな本を お孫さんにといただきました

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装備の途中で事故った本を いまみんな処分しているんだそうです

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なんでも、4月20日を持って

フィルムルックスという会社がなくなってしまうんだとか。

 

アマゾンが日本に入ってきた時、調達先を大阪屋にしたらしいのですけど

やがて 日販に変更してしまい、困った大阪屋は栗田や

楽天ブックスとくっついたそうです。

でも、2016年に栗田に吸収される形で解散してしまったので

大阪屋と提携していたフィルムルックスは 楽天ブックスのもとで

営業を続けていたみたいですが

楽天ブックスが 2021年に日販に乗り換えたせいで

装備も調布にある 日本ブッカーに切り替わるんですって。

 

いま、電子図書も増えているし

出版流通業界も 激動の時代なんですね

いい方向に向かえばいいのですけど、

新自由主義が まだまだ力を増しているので

なかなかきびしいのかなあ・・

 

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むかし オリオン書房で買ったフィルムルックス

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家にある絵本にカバーをかけようと思ったのですけど

ほとんど使いませんでした。

個人の本だと、やっぱり本の手触りも大事ですもん