「読書の冬」の間、いろいろな本を読みました
ほとんどは小説で、時代小説や児童文学がメインです
でも、ノンフィクションも ちゃんと?10冊以上読んだんですよー
伝統野菜の本や 地域資料系なんかは ノートも取ってしまいました
ノンフィクションの中では
『オーガニックラベルの裏側』という本が
とてもひっかかりました
『オーガニックラベルの裏側』クレメンス・G・アルヴァイ 長谷川圭訳 春秋社 2014
この本は、オーストリアの農業ジャーナリスト
1980年生まれのクレメンス・G・アルヴァイという人が、
「オーガニック」の実態について 32歳の時 つまり
2012年にヨーロッパを11週間かけて横断し
有機農場の舞台裏を取材したレポートです
とりあえず読み進めたので
半分くらいしか理解できていませんし
もしかしたら 曲解しているのかもしれませんが
まず びっくりしたのが 私たちがふだん食べている
鶏肉についての記述でした
いま、流通している肉の多くは
ハイブリッド種だったんです
F1種というのは 野菜だけの話かと思ったら
家畜についても、進行していたんですね
養鶏家は オーガニックであるかどうかにかかわらず
ハイブリッド種の雛を買って 育てているのです
採卵場では 毎日 効率的に大量に卵を孵化させ
雄と雌がその場で選別されて
雄はそのままベルトコンベアーに放り込まれ
シュレッダーにかけられていました
雌の方は それぞれの養鶏場に運ばれ
運が良ければ 有機飼料や平飼いの農場に行きついて
「生き物にやさしい育てられ方」をされるはずなのですけど
アルヴァイさんが調べたオーガニック農場の多くは
飼育密度が高すぎて、カニバリズム(尻つつき)による
裸の鶏現象が広がっていたのです
オーガニックの鶏というと、広々とした
草がいっぱい生えている場所で放し飼いになっているイメージでした。
でも、
ドイツではどの養鶏場も オーガニックという認証を得るために
(一羽当たり4-10㎡の面積で飼育するという条件があるみたいです)
一応 広大な運動場を併設してはいるものの
そこにいるはずの鶏がいない・・
いても、鶏舎から4-5メートルの範囲にとどまり
鶏舎の中は、超過密状態というのが実態だったのです
(他の国でもほとんど似た状況らしいです)
むろん こうした状況と戦っている有機農場も取材していて
そのレポートの中では
元凶として 畜産業界や食品企業以上に
スーパーマーケットのあり方があげられていました
たしかに 日本でも 1960年代の高度成長期に
それまでの小売り業態が 激変しています
やがて、地域に密着した商店街はどんどん寂れていき
大量生産 大量消費を前提とした
安くて均一な商品への要求が どんどん高まっていったんです
その過程で どんどん生産者と消費者の距離が広がり
ひたすら 量による利益追求をするようになって
F1やハイブリッド種や農薬や低賃金労働者構造が
進行していったんですね
アルヴァイさんの結論は スーパーマーケットから自由になり
自分たちの生産から消費までの 小さなネットワークを作っていくことで
世の中を少しずつ変えていくことにあるみたいです
でも、スーパーマーケットのチラシを見て
つい 安いものを買いに行ってしまう性格を
変えていくのって 結構大変です
先日 飯能の「野口種苗研究所」に行った帰り
コストコに寄って オーガニックのバナナや
平飼いの卵を買ったのですけど、
スーパーマーケットの代表ともいえるコストコで買う時点で
たぶんアウトなのかもしれませんね